- ポリカとアクリルのどちらを使用するか迷っている人
- ポリカとアクリルの物性を比較したい人
- ポリカの黄変具合を見たい人
透明や拡散パネルなどのカバー関連で最適な樹脂材料に、ポリカやアクリルがあります。
でも結局どっちを使ったほうがいいのか悩みませんか?
そんな人に用途別にどちらを使ったほうがいいか具体的例を示して解説していきます。
ポリカとアクリルの特性
まず、ポリカとアクリルの特性について、物性的な観点でピックアップしてみました。
なお、耐薬品性などは除外してます。
樹脂はそもそも薬品に対して強い弱いがあるので、薬品の種類によっては注意すべきですが、薬品が付くことこと自体が特殊であると考えますので通常使用の範囲外であるとして除外しております。
項目 | ポリカ | アクリル |
耐熱温度 | 120~130℃ 自己消化性有り | 70~90℃ 良燃性 |
耐候性 | 数年で黄変する。 | 良い |
衝撃に対する強さ | 普通のガラスの200倍以上。 曲げ方向に力が加わった場合でも 白化やたわみが生じるのみで割れにくい。 | 普通のガラスの3倍以上。 曲げ方向に力が加わった場合、割れる。 |
摩擦に対する強さ | アクリルより弱く、傷がつきやすい。 | ポリカより強いが、傷はつきやすい。 |
透過性 | アクリルより悪く、 透明2mm厚で88% | ポリカより良く、 透明2mm厚で92% |
コスト | アクリルより高価 | ポリカより安価 |
上記の特性から以下のように利点と欠点をまとめることができます。
ポリカとアクリルの利点と欠点
ポリカ
- 利点:
・熱に強く燃えにくい。
・強度が強く割れにくい - 欠点:
・数年で黄変する。
アクリル
- 利点:
・耐候性がよく、黄変が起こらない
・透過率がよい - 欠点:
・熱に弱く変形する。割れやすい。
用途別の使用例
仕切り用の透明カバー
- 仕切り板の厚みが5mm程度であるとして、
-
透明性重視であったり、物がぶつかる等の衝撃が発生しない場所であれば、アクリルのほうがコストが安価のため選ばれます。
-
但し、アクリルはガラスの3倍程度の強度ですので、それ以上の衝撃が入りそうであれば強度や安全面からポリカが選ばれます。
照明のカバー
- 光の透過性能が最大限に必要な場合は、透明のアクリルです。
但し、アクリルは熱に弱いので発光している際の温度や、使用環境温度も考慮して、耐熱温度が絶対に超えないことの確認が必要です。 - また、照明のカバーは1.0mmから2.0mm程度の薄型になりがちですので、強度を重視する場合は、ポリカが選ばれます。
- 拡散剤入りのカバーを使用する場合は、アクリルの光の透過性能も減少するので、コスト面でアクリルを選ぶよりも、強度・安全面でポリカが選ばれると思います。
<番外編>ポリカの黄変写真
屋外で使用するため、コストよりも安全面からポリカを使用したいって思うことがありませんか?
私の場合はよくあるのですが、このときよく懸念事項に挙がるのがポリカの黄変ではないでしょうか?
ポリカの黄変ってどの程度だろうと思ったことはありませんか?
そんな人の為に黄変について、実際に起こっている写真が下記になります。
確認したポリカは拡散剤入りの耐候性グレードのものです。

真ん中:屋外暴露状態で3年経過
一番下:屋外暴露状態で6年経過
結構、黄変していると思いませんか?
もともと透けるような白でしたが、見事に黄変、もう白とは言えない状態です。
実際、衝撃があるような場所への設置に使うものではなかったのですが、安全性を重視しすぎて、ポリカにしたところ、こんな感じになりました。
クレームは起こってませんが、景観を重視するところに設置したものですから、今となってはアクリルにすれば良かったなと後悔しております。
ちなみに、あくまで拡散剤入りのポリカが、上記ような状態になったのですが、透明のポリカの黄変はもっと分かり難いと思います。
自動車のライトの部分がポリカで、20年前くらい昔の車はたしかに黄変が顕著にでていたともいますが、今の車は気になるほど黄変しているものはないと思います。
まとめ
ポリカを使うかアクリルを使うかは、私のように失敗をしないように何を重要視するかで検討してみてください。
安全重視と言ってしまったらもうポリカしか選択肢はないです。
アクリルのほうがきれいでコストも安いですので、どこまで許容できるか確認してみてください。
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